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最新動向

2023.06.30

Apple Vision Pro発表! から思うことイロイロ

皆さんはじめまして、西川コミュニケーションズの尾野と申します。
私からは、ハードウエアをはじめとした最新動向や考察を記事にしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。

さて、先頃Appleからヘッドマウントディスプレイが発表になりましたが、はたしてそれどうなの? というところから話を進めながら、今後の考察などちょっと書いていきたいと思います。

Apple Vision Pro とうとう発表

とうとう「Apple Vision Pro」が発表されましたね。前々から噂はあったのですが、はたしてAppleという巨大リーディングカンパニーが満を持して世に送り出すヘッドマウントディスプレイ、どんなもんかと期待を膨らませておりました。40~50万円くらいになるのでは? との憶測が飛び交っていましたが、それを聞いたときはイヤハヤなんとも冒険的な価格だなと思ったのと同時に、あのAppleなのだから何か特別なモノがあるんだろう、と。で、やはり憶測通りの価格帯で発表されました。正直に言うと、コンシューマーレベルのXRという観点から考えると二の足を踏む価格なのでは? と思ってしまいました。

当初はこう考えていました。現状少し食傷気味になりかけているXR、特にメタバース関連が再び盛り返す起爆剤となりそうな予感・・・ しかしながら、いざふたを開けてみて違う意味で驚きましたね。どこにも「VR」「XR」の文字が無い! あれ?っと思っていろいろ調べてみると、「空間コンピューティング」というキーワードが出てきました。そうか、Appleは新しいコンピューティングのあり方を提案しているんだ、と気づくのに時間がかかってしまいました。考えてみれば、「あの」Appleが途中から現存のXR市場に後発で参入すること自体考えづらいですね。iPodやiPhone、iPadなど次々と新しいガジェット・デバイスを提案し、常にそれらのオピニオンリーダーとして君臨し、最終的にはそれを文化に昇華させてしまう「あの」Appleですからね。

とはいえ、私としては「ヘッドマウントディスプレイ」としてのVision Proを見てしまうのを避けることができない性分なのです。解像度は?とか、視野角は? とかどんなセンサーが搭載されているの? とか。バッテリーが外付けと聞いてちょっと笑いかけたのですが、そこまでしてでも本体を軽くして、付け心地を重視したと考えると、それも逆の意味でAppleらしいのかなと感じました。ただ、昔の(ジョブス時代の)Appleならその軽さでバッテリーを内蔵していたでしょうけどね。たぶん。

出典:Apple Vision Pro – Apple https://www.apple.com/apple-vision-pro/

ヘッドマウントディスプレイは今後どうなるの?

と言っておきながら、そんな先のことは正直わかりません。終了・・・ といっては元も子もないので、いろいろ考えてみたいと思います。先頃Meta Quest3が発表されましたが、Apple Vision Proと同じく全面カメラのカラーパススルーで「MR(ミクスドリアリティー)」が使えることから、今後はMRで何をするか、ということにシフトしていくような雰囲気ですね。当然ハードウエアは日進月歩、解像度は上がり視野角も広がり、重量は軽くなり、バッテリーの保ちは良くなり、どんどん高性能になっていくのは想像に難しくないですが、「それで何をするの?」ということが使い手側に求められているのです。いや、使い手側ではなく、どういう使い方を提供するのか、というディベロッパーや開発側の問題ですね。何事も需要と供給が上手くマッチしないと、というのは当たり前の話ですが。

映画『レディ・プレイヤー1』のように、誰もが当たり前にXRデバイスを所有している事(今のスマホのように)を狙うには、XRで提供するサービスに「生活に必要不可欠な何か」がないと無理です。そんな時代はいつ来るのかな? と思いを馳せるのです。

もう一つ、現状のVRは視覚と聴覚(立体音響を含む)のみです。そこに触覚などの感覚が抜け落ちているのが現状です。つまり、仮想現実といいながら、現実の一部分でしかないのです。真のバーチャルリアリティーに近づくためには、ハプティクス(触感フィードバック技術)の発展が不可欠です。VRの中のオブジェクトは触ることができませんので、それだけで没入感が薄れてしまいます。触感グローブなど現在様々な企業や研究施設で開発が行われていますし私もいろいろ体験しましたが、まだ納得のいくハプティクスデバイスに出会えていません。その他、匂いをシミュレートする嗅覚デバイスなども出てきましたね。今後の発展が非常に楽しみですね。

メタバースって今後どうなるの?

なんとなく私が懸念しているのは、いま騒がれているメタバースも昔流行ったアレのように一過性の物になってしまわないか、ということです。まだまだメタバースをVRで楽しんでいる方は少ないと思いますが、そういう意味で今回のAppleの動きにはちょっと希望の光が見えかけていたけどちょっと見当違いだったかも、というのが冒頭のお話でした。ただ、そういった新しい物は派生していくと思いますし、もっと安価な「Vision SE」とか出そうですしね。わかりませんが・・・

あと、エンターテインメントとしてのみでは無い「メタバースの業務利用」という新しい使い道が出てきました。コロナでテレワークの常態化、というのも後押ししていると感じますが、DXというキーワードもプラスされて、これも普及しつつあります。これぞまさしく「ニューノーマル×DX」の進化形なのかもしれません。弊社で開発・販売しているMetaRoBaがちょうどその要求に応えることができるメタバースですので、ご興味のある方は是非尾野まで御連絡くださいませ。

さて話を戻しまして、PC上でリアルタイムに3Dをグリグリって少し前まではなかなかきつい演算処理でしたが、現在のハードウエアの進歩・普及にメタバースで表現できること・機能がやっと追いついてきた感があります。ただし、ちょっと乱立気味なのも気になります。サービスの中には「コレって目的は何なの?」とか「コレ別にメタバースでなくて良いのでは?」とか首をかしげる物もあったりします。まあ、その中から淘汰されたり尖ったりして生き残った物が、理想とする「生活のなかのメタバース」として人々に愛されて発展していくのかな、と思いを馳せながら今回はこのあたりで締めたいと思います。

尾野 貴敏
尾野 貴敏

西川コミュニケーションズ株式会社
MONOZUKURI-X研究所 セールスマネージャー

DTP黎明期からオペレーターとして従事し、その経験を生かしながら新聞・雑誌広告のデジタル化推進プロジェクトに技術要員として参加。 その後、ICTの知識を生かした技術営業として職務したのち、デジタルアセット管理システム「シエルト」およびオンライン校正システム「アプルーブ」のマネージャーとして活動。現在は兼任でMONOZUKURI-X研究所に在籍、セールスマネージャーを担当。

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